女子向け 初めてのインド旅行の手引き



はじめに


このサイトの主は約20年前から来日在日インド人との交流を始め、以降インド圏(バングラデシュ、スリランカ含む)を定期的に旅することを心がけています。2005年以前は旅行するのが比較的容易な国でした。しかし、最近のインドは経済発展と同時に治安が悪化しています(警察が腐敗している為)。加えて、デリー、ムンバイ、コルカタ、ダッカなど大都市の大気汚染は深刻です。水質汚染も深刻なので、時期によっては体調を崩しやすい環境にあります。実際のところ、この大気汚染と水質汚染が私の足をインド方面から遠のかせているのは事実です。
旅行するなら体調を整え、時期と場所をよく選んでください。

様々な困難があっても、それでも訪れたい魅力に溢れた国なので、一生に一度は旅されることをおススメします。そう思う方が多いせいか、有名観光地では日本の年配者の団体ツアーを多くみかけます。
でも、インドは多感な若い頃に見た方が、きっとその後の人生の参考になります。

日本女子の皆様!次回の旅は東南アジアや欧米じゃなくて、インドはいかがですか?


手引きの対象:一回はインド旅しようかな〜と考えている普通の女子(バックパッカー系は対象外)

以下、どちらにも対応する内容にしました

・ノーリスク派=安心、安全な旅行をしたい方
・ハイリスク派=スリルに満ちた刺激的な旅行をしたい方

ちなみに主は若い頃に友人のインド人からインド旅行教育を受けた結果、ノーリスク派に確定。
「日本人の女の子は無防備でお人よしで、普通の人を悪者にする可能性があるいいカモなんだから気を付けて!」
この言葉、インド人は時に相手を見て豹変する性質がある、ということを言いたいらしいです。そうさせたのはアナタ、という怖い論理。
インドの真理かもしれません。

渡航前には、様々なインド旅行のトラブル事例を学んで下さい。
外務省の海外旅行渡航ページをご参考にどうぞ。



@ よくあるご質問

(一問一答)
 
Q:インドに行くと人生観変わるって本当ですか?

A:イエスでもあるしノーでもある
インドは鏡の国。ご自分の心の状況が反映されます。

Q:インドは一度行くとはまる人と二度と行かない人に分かれるのは本当?

A:たぶんイエス
実際に何度も行けるかどうかは心身の丈夫さで決まります。

Q:インドは女性が旅行すると危険な国ですか?

A:イエスでもあるしノーでもある
危険なのはインドだけではないし、心がけ次第

Q:いつ行くのがいいですか?暑いですか?

A:基本的に暑い国。観光するなら北インドは乾季。行きたい都市の気候チャートを参考に、気温が低く雨が降りにくいシーズンを選んでください


Q:インドは貧しくて不潔な国ですか?

A:イエスでもあるしノーでもある
貧富の差が激しいので出入りする場所で印象は正反対。
高予算の旅をすればお金持ちの国と思うし、最低予算のバックパック旅なら貧しい国と感じるでしょう

Q:インドは女の子一人でも行けますか?

A:イエスでもあるしノーでもある
その人による。でも複数で渡航をおススメ

Q:インドを旅行するのに気をつけることは?

A:いい人もたくさんいます。でも、簡単に人を信じないこと!だって「人間だもの」


A インドの魅力


いつかインドに行こう、と思っているならば、インドの何かが貴女を呼んでいます。具体的な魅力について考える必要はありません。行きたい、それでよし。行って下さい。
何かインドには行きたくないな、と思っているならば、インドには呼ばれていないから、行かない方がいいです。インド文化は日本でも楽しめます。それが最も安全です。

ちなみに、インドの魅力は諸外国の魅力と同じく、遺跡、グルメ、ショッピングです。
特別な幻想を持たない方がいいです。観光地として魅力的ですが、インドだけが特に魅力的、と言い切れるわけではありません。

インドの遺跡に興味ありますか?インド料理に興味ありますか?インドの衣服や雑貨などに興味ありますか?
どこにも興味がないなら、敢えてインド旅行をおススメはしないです。

ヨガ人やアーユルヴェーダ系を惹きつける国ですが、一般人にその魅力は解りかねます。インドの本格的なヨガは宗教的要素が強いし、アーユルヴェーダは民間療法で日本のエステとは全く違います。
グルメ、エステ、ショッピング、女子旅的楽しみを求めるなら、やっぱり東南アジアに行きましょう♪


B インド旅行のリスク

第一に下痢。飲み水が汚染されているので、ありとあらゆるシーンで食あたりの可能性があります。

第二にスリ、置き引き、ひったくり。観光地、繁華街では十分にご注意ください。

第三にボッタクリ。気を付けても避けられない時があるので、高価な買い物は出来るだけしないこと。

第四に街中でナンパ。個人旅行をすると必ず体験しますが、日本で無視するようにインドでも無視。

第五に強引な人々。旅先で偶発的に出会う人全てに要注意、詐欺やボッタくりの手先多し。

第六に女性特有の被害。強姦(レイプ)。インドでは頻繁に起きる犯罪なので、日本にいるような気持ちでのうかつな言動は慎むこと。目立つ派手な格好、「曖昧な微笑み」等の危険行為は極力避けること。


C インド旅行の形態

大きく分けて2つあります。
●団体旅行  ●個人旅行

団体旅行のメリット:ツアー料金が安い。全行程ガイドがつくので安心、安全。
団体旅行のデメリット:スケジュールが全て組まれ、観光も食事もツアー会社任せになる。現地滞在を楽しむ余地は少ない。

●個人旅行には二通りあります

T旅行会社から車とガイドを借りる。

メリット:車があり通訳がいるので、非常に効率よく、好きな場所に行き、好きなものを食べ、好きなものを買える。安心、安全。現地滞在日数の少ない人におススメ。
デメリット:団体旅行より料金が高くなる

U公共交通機関を使って自由行動する

メリット:旅行代金が安くあがる(詐欺、恐喝にあった場合にはかえって高くつく)。気ままに移動できる。最高に運が良ければ良い人達に巡り合い素敵な旅行となる。中には年下のボーギャルソンと結婚してしまう日本人女性も!(相手はインド版シンデレラボーイ)
デメリット:女性は馬鹿にされるのが現地の常識なので、ありとあらゆるシーンで困難に直面する可能性がある。バスや電車の乗車システムが日本と違うので、チケットを買うのすらも一仕事。タクシーやリキシャの運転手との料金交渉ではボッタくりが常態化するので非常に面倒。目的地につけないことも。なにもかも効率が悪いので、現地滞在日数が多くないと、行きたい場所をまわりきることができない。
何よりも危険を伴う。運が悪い場合、強盗、レイプに最大の注意を払っても出くわす時には出くわす。


D 個人旅行の人数

一人旅での個人旅行Uはおススメしません。旅慣れていても運が悪いと悲劇。

Tの形態ならば一人でも可能。その場合、割高になったとしても日本に窓口のある業者を通してガイドと車を確保しましょう。日本から個人旅行を請け負うインドの旅行会社は、一人旅の女性には最大限の注意を払います。客とガイドが一対一での旅行は男女トラブルの可能性が高く、現地ガイドへの教育が徹底されている会社が多いので、比較的安心。ちなみにガイドは男性。インド社会では男性が側にいないと「なめられる」ので、ガイドはボディーガードを兼ねて男性が務めます。

個人的には二人以上の渡航をおススメ。その場合も個人旅行Tの形態が望ましい。

どうしても個人旅行Uがやりたい場合、旅の友を4人集めましょう。4人以上いれば悪人のターゲットになるリスクは減ります。女子だけでも集団は強い。しかし運が悪いと、悪人の集団に狙われます。その場合は悲劇。


E 旅の宿

格安団体旅行なら中級以上のホテル滞在となります。中級ホテルの場合、最低限の設備は保証されます。しかし、場合によっては騒音、停電、お湯が出ない、虫の発生などの不便、トラブルも。団体ツアーなら割安だから高級ホテルに泊まるちょっとリッチなツアーに申し込みましょう。高級ホテルなら基本的に滞在中、何の不便もありません。

個人旅行Tの場合、中級ホテルでも大丈夫ですが、できれば一泊5000円以上の、中の上くらいに泊まりましょう。旅の効率を重視するなら日本からの事前予約は必須です。
個人旅行Uの場合も、可能な限り日本で事前予約しましょう。ただでさえ目立つ外国人女子の行き当たりばったりの不審な動きを、じっと見ている人がたくさんいます。Uの場合、ガイドなどに常時守られていないから、悪い人間のターゲットになる可能性があります。それはホテル内部の人間の可能性も十分あり得ます。インドでは狙われる方が悪い、という意識が強いので、女性が一人で中級以下ホテルに泊まるのは、ある種の危険行為と認識しましょう。
高級ホテルはサービス、施設全般が欧米の高級ホテル並み。値段も欧米並み。その代わり、安全。女性だけの個人旅行では、安全をお金で買う、くらいの意識を持つべきでしょう。

とは言っても、ほとんどの場合、大きな問題は起きません。だから、欧米系バックパッカーの女性達のように、ちょっとスリリングなリスクをとりたいならば、中級以下のホテル滞在をとめません。その結果、レイプの恐怖でベランダから飛び降りても、あまり同情されないのが現実ですが(2013年3月、アグラのホテルで起きたイギリス人女性レイプ未遂事件より)。

ホテルの料金(一室)の目安は以下(詳細は世界のホテル予約サイトで検索)

超高級ホテル 一泊 30000円〜
高級ホテル 一泊 15000円〜
中の上級ホテル 一泊 5000円〜
中級ホテル 一泊 1500円〜
下級ホテル 一泊 150円〜


F 旅の食事

インド旅行から帰国して、本場のカリーを食べてきました!というけれど、どれが何が本場でしょうか?

インドは宗教、階級、地方で食べているものが全く違います。ベジタリアンとノンベジタリアンが混在している上に、ベジタリアンにも様々な種類があります。乳製品、卵も食べられない人、野菜でも玉ねぎ、にんにく、しょうがを食べない人など、分類が細かいのです。
日本人が大好きなバターチキンとナンを全てのインド人が食べているかといえば否!

また、インド人は階級によって出入りできる店が異なります。外国人だけがフリーパスなのです。だからこそ、日本人はどこでも行ける。何でも食べられる。最高の身分です。でも、何でも食べられるということは、かえって不自由かもしれません。どこに行けば何を食べられるかを知っていないと、自分は何を食べているんだか、実は分からないということかもしれないのです。行き当たりばったりで入った店で自分が食べたカリーを疑いもせずに「本場」と思うのは正しいのかどうか。

もし旅の目的が食事ならば、自分はインドで何を食べたいか、何をインド料理と思っているか、よく考えてリサーチしてから行くのがよいです。
家庭で作られているカリーと、街中の労働者が食べる食堂のカリーと、ビジネスマンがランチタイムに出かけるビジネス街の食堂のカリーと、高級ホテルのレストランのカリーのどれが本場だと思いますか?どこで食べたいと思いますか?

地方でメニューが違うのは当然ですが、例えばデリーのような大都市では南インド料理屋さんでドーサを食べるのが流行っていたり、ムンバイに行けば、ありとあらゆる地方のインド料理から屋台料理に特化した高級レストランまで幅広く揃っています。外国料理はもちろん。

最近では、インディアンヌーベルキュイジーヌが流行していて、インディアンフレンチ、インディアンイタリアンなど斬新で新しいインド料理が作られています。大都市にある新しいお洒落なレストランには上流階級が詰めかけ、コックはシェフに呼び名が変わり憧れの存在となり、日本と同じようなグルメ文化が(主に上流階級中心に)栄えています。

そういうことを、果たして日本人は知っているでしょうか?
日本のインド料理屋さんの食事を全てと思っているならば、インドに行くと開眼することでしょう。
その為にも、各都市の最新グルメ情報を事前に仕込んでいくのは必須です!



G 航空会社

団体旅行の場合は指定された便に乗るだけです。

個人旅行の場合、選べます。予算と渡航先で考えましょう。
肝に銘じるべきは基本的に予算に応じた快適さであること。
インドは心身が疲労する国、体力温存の為にも可能な限り直行便をおススメします。

デリーに行くなら
直行 JAL、全日空、エアインディア
経由なら ジェットエアウェイズ、シンガポール航空、マレーシア航空、その他

ムンバイに行くなら
直行 全日空
経由 JAL、エアインディア、ジェットエアウェイズ、シンガポール航空、マレーシア航空、その他

予算(サーチャージ込、チケットの種類による)
直行便 100,000円〜
経由便 60000円〜


H 旅の予算

団体旅行は航空券、ホテル、食事、観光がついて、時期によっては個人旅行の航空券と同じくらいの値段で行けます。
安全でお得な旅なら団体旅行をどうぞ。
時期によりますが、5〜6日間、サーチャージ込で100,000円〜の旅が主流

個人旅行

1、航空券、ホテル、食事、車、ガイド
5日〜7日間で200,000円〜
上限はありません

2、航空券、ホテル、食事、その他交通費
5日〜で150,000円〜
期間、予算に上限はありません


I おススメ旅プラン

集団はイヤ、自由にまわりたい、食べたいものを食べたい。でも、安全に旅行したい。
そんな貴女におススメするのは、個人旅行Tのスタイルで、2人以上からの旅行です。
これは一番楽で安心なプランの立て方です。
具体的に流れをご説明いたします。

1、まず仲間を募って人数と旅行時期、期間を決める。
2、行きたい都市、観光地を決める。
3、航空券を予約する。
4、ホテルを予約する。
5、パスポートの残り期間をチェックし、インドビザを申請をする。
6、現地の情報収集をする。
7、旅のプランを書きだす。
8、日本の旅行会社窓口から現地ガイドと車の予約をする。
9、パスポート、ビザ、航空券(eチケット)、ホテルの予約確認書、ガイドと車の手配書、市販の旅行ガイド、個人作成の旅程表をファイルにおさめる。
10、旅に備えて体力を温存する。


さいごに

やはり女の子には安全に快適にインド旅行して欲しいと思います。旅の快適さによってインドに対する印象が決まります。

主がおススメするプランだとヨーロッパ旅行並みの予算がかかりますが、一生に一度くらい、いいじゃないですか。
素敵なホテルに泊まって、素敵なレストランに行って、素敵なショッピングをして。それでも外は混沌としたインド世界。このアンバランスは何?と思った瞬間、世界の真理が見えてくる、ような気がしますよ。きっと。

以上、グッドラックです!